招待席
私が、強く惹かれたものを、随時、紹介してゆきます。ここへ出展、詩俳句短歌画像何でも歓迎します。独断で選ばせて頂きます。ご了解の上、メールでお送り下さい下さい。
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今年の年賀状より



生まれたての山河に遊ぶ鳥たちよ  堀之内長一

この句の清々しさは何だろう。
思わず、わっと、虚を突かれたような自由な童心、この山河は良寛様の国上山でしょうか。
堀之内さんは、昨年秋に、現俳協の役員会で倒れられて、東大に緊急入院され、やっと一命を取り止められたのである。
海程の句会のお世話から、俳誌の編集、海程の行事の一切が、お人柄の良い堀之内さんのお世話にならないことは、何もなかった。過労がたたったのであろう。50代前半のお若さである。
11月に、久しぶりに回復された堀之内さんにお目にかかった。再起を心よりお祝いを申し上げた。
「生まれたての山河」、これは、ご自身も拾った命と云う思いがあるのでしょう。そこで遊ぶうつくしいメジロ、いよいよ、俳諧自由、これからはお体を愛われながら俳句を楽しんで頂きたいと思う。




こしのゆみこの猫の旅
2004.10.10〜16
銀座・ボザール・ミューにて

 

 


フォト・HANA

後ろ手に歩むは鴨の気持ちかな

冬の海むかしがたくさんはこばれて

がらんどうの秋の音する夜の体

野あそびの線から少女はみでゆく

目隠しの指がひろがる秋の海

桔梗の真顔にあってしまいけり

大野分孔雀がおやっという顔に

月の木に上がりし猫の飛びたてり

熟睡を抱いておりぬ夕月夜

あちらこちらの狐火もやす係なる

立冬のまだやわらかいふくらはぎ

無意識が時計をはずす二日月

蜻蛉は魚の背びれに止まりたい

夕焼けて鳥のなる木に急ぐかな

満月の真水底を抜こうとする

露けしや後ろを向いているけもの

いもうとは羽をたたんでひなたぼこ

片恋の兄猛烈に黄落す

西口はよく晴れている花衣

山の霧晴れくる方は咲いている


こしのゆみこさんは、陶芸家であり、美術教師、そして、私と同じ「海程」の俳人です。
超結社の若手俳人グループ「豆の木」の代表でもあります。
http://homepage3.nifty.com/mamenoki-kukai/
現俳協の新人賞を嘗て取られ、本年度は、現代俳句協会年度作品賞も取られたようです。授賞式は10月23日です。その日は、NHK俳句王国があるのだが、兜太先生は授賞式に出てきてくださるのだろうかと心配していた。やはり、主宰から祝辞を頂きたいのであろう。
作品展では、陶芸の猫に、俳句を付けていた。
急いで俳句を用意されたと話されていたが、すこし、無理をして作られたのかなと思うところがある。展示してあった俳句をテキスト化するとき、神経衰弱に落ちそうなところがあった。本来はもっとやわらかい感性ののびやかな俳句を作られる方だと思う。
猫の表情がどれもいい、いろんな猫があって、それぞれに存在感がある。味わい深い作品群です。ただ、お値段が高い。


花・海月合作第2弾 2004.10.11
「サヨウナラ」



様々な理由の罠に近づくな帽子ま深く被りてぞ行く   花



全画像・花



とても内面的なものへ誘う画像で始まっています。
「様々な理由の罠に近づくな」って何のことだろう?それを、海月さんは、たとえば、別離の理由だろうと思われて、連なり、詩を書かれたのでしょう。
「一人は無数である 無数は一人である だから サヨウナラを言ってはいけない」という最後の連は、宗教的な悟りのような理念がある。
「さようならだけが人生さ」という寺山修司の歌があるが、どんな別離もほんとうは表面的なもので、別離なんてものはあり得ないのかもしれません。そういうことを海月さんは詠まれているように思います。
それにしても、二人の詠まれてものと、画像とのまとまりがすばらしい。
落ち着いたふたりの内面のイメージをうまく画像化されていると思います。
すばらしい。



日和佐廣(木版画)
2004.10.2












汎美展という画展には、この2年ほど折々、出かけて見せていただいています。どの作品にも、画家の静かな個性が打ち込まれており、レベルの高い作品だと思います。
その中にあって、私は、日和佐さんの作品がたいへんに気に入っています。人間の温さが作品の底にあるようにおもいます。

夕あかりの国
(花さんと海月さんの合作)
2004.9.23


aC1 詩・花、画像・花

aC2 詩・海月、画像・花

aC3 詩・海月、画像・花


この合作の経緯がとてもステキだ。花さんが、aA1にある詩を作って


夕あかりの国

この世には夕あかりの国というのがあって
病気で寝ている子が夕暮れのちょうど
今頃の時間に夕ぐれの空を飛び
ふしぎの世界へ・・・・

人家の門灯がつくころにはもう
夕あかりの国は閉じられてしまうのです



この詩を、海月さんに投げかけたら、その詩に刺激された海月さんは、海月さんも詩を書いて、


おい そこのきみ

こどもを捨てないでくれたまえ
ビニール袋に入れて
燃やせるゴミの日に
出さないでくれたまえ

こどもを殺さないでくれたまえ
きみが電車に轢かれて
ぎしゃぐしゃごろんでも
いっこうにかまわない

捨てるなら 殺すなら
ぼくの家の門口に置いてくれたまえ
千葉県安浦市猫実四ノ一ノ二十六
ぼくの住所だ

こどもはだれでも
朝焼けの国からうまれてくる
夕あかりの国はさびしいぞ
水の中は冷たいぞ

お願いする



この詩を書いて、花さんに返したのだ。
この返ってきた詩に感激した花さんは、渾身の思いでこれらの画像を作り、詩を載せたのです。表現というものをしている、末席の人間として、こういう表現のたしかなキャッチボールはほんとうに素敵だと思う。
詩もほんとうにすばらしい、感銘的な詩だと思いますが、このお二人の合作の経緯がまた、すばらしいと思います。
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